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本稿では,NAT64実装の一つであるEcdysis,DNS64をサポートしたBIND 9.8,およびDHCPv6をサポートしたISC DHCP 4を用いてIPv6 onlyネットワークを構築する手順を説明する.

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IPv6 onlyネットワークの構築〜Ecdysis (NAT64) / BIND 9.8 (DNS64) / ISC DHCP 4 (DHCPv6)〜

Date: Oct. 31, 2011
Author: 浅井 大史

設定(Gateway/NAT64)

Gateway

Gatewayの経路は次のようにする(以下の例はCisco系ルータのスタティック経路コマンドである). これにより,NAT64プレフィックス宛のパケットをNAT64機器へと配送する.

ipv6 route 64:FF9B::/96 2001:DB8:90:64::4
ipv6 route ::/0 2001:DB8:90:66::1

セキュリティ上の注意もし外部のネットワークから到達性のあるIPv6プレフィックスを用いる場合は,外部からのNAT64機器へのパケットを中継しないように,このプレフィックスの経路広告を停止するか,NAT64機器へのトラフィックフィルタを設定する必要がある.これを設定しないと,外部のIPv6ホストからの通信を中継してしまうことになり,また,NAT64により自ネットワークのIPv4アドレスを送信元アドレスとした通信を行ってしまうためセキュリティ上好ましくない.

NAT64

Ecdysisのダウンロードページ -->から使用するOSに応じてダウンロードする.ここでは,インストールが容易なOpenBSD ISO (ecdysis-openbsd-4.6-amd64-20100226.iso)を用いる.

NAT64機器のハードウェアは最低2つのNICが必要である(VLANなどの論理NICでも良いが,本稿では簡単のため2つの物理NICを想定する.)IPv4インターネット側のNICをem0,IPv6 onlyネットワーク側のNICをem1とする.NIC名は環境に依って異なるため,適宜読み替えて頂きたい.

ISO (CD/DVDなど) からインストーラを起動し,Ecdysisパッチの当たったOpenBSDをインストールする.まず,キーボードおよびホスト名を設定する.
インストーラの起動

次に,em0(外部ネットワーク:IPv4)のネットワーク設定を行う.
em0の設定

さらに,em1(内部ネットワーク:IPv6)のネットワーク設定を行う.
em1の設定

IPv4のデフォルトゲートウェイ,DNSドメイン名,DNSサーバを設定する.
ネットワーク設定

rootパスワード,sshd/ntpd/X Window Systemおよびコンソール,ユーザアカウントの設定を行う.
各種設定

インストール先のディスクのパーティション・スライスを設定する.
パーティション・スライス設定 パーティション・スライス設定

ISO (CD/DVD) からシステムをインストールする.
インストール元を選択する

タイムゾーンを設定し,インストールを完了し再起動する.
インストール完了

この時点で,ネットワークの設定は/etc/hostname.em0および/etc/hostname.em1に保存されており,以上の設定を行った場合は以下のようになっている.

em0
inet 192.0.2.2 255.255.255.0
em1
inet6 2001:db8:90:64::4 64

インストール直後は,net.inet.ip.forwardingnet.inet6.ip6.forwardingともに無効になっているため,このままではパケットのフォワーディングができないため,/etc/sysctl.confに以下の設定を加える.

net.inet.ip.forwarding=1
net.inet6.ip6.forwarding=1

また,NAT64機能を有効にするために, /etc/pf.confに以下の設定を加える.

nat64 on em1 from any to 64:ff9b::/96 -> 192.0.2.2

これらの設定を行った後で再起動すれば,NAT64の設定は完了である.